
英国の古典学者が50年かけて研究した古代ローマ史。創建期から、カラカラ帝までの前半1000年を扱う。
塩野七生はこの本を読む前に書き上げてしまっている。塩野のものはある意味、退屈な皇帝列伝だが、Beard のものは、考古学にまでわたる広範な資料に裏打ちされた、庶民の生活に及ぶものだ。
通説が疑問視され、新たな発見が紹介される。アカデミックな議論とともに、下ネタも、ウィットに富んだ逸話もある。
表題となったSPQRは、Senatus Populus Que Romanus の略で、いまでもローマのあちこちに見かけるが、Sono pazzi questi Romani、と揶揄されるという。
古代ローマ史が、いっそう身近になること請け合いだ。