
文明崩壊といえば、たとえばローマ帝国を思い出し浮かべる。だがダイアモンド博士の事例は、もっと小さな対象である。
本文では年代順にはなっていないが、古い順に並べ変えると、マヤ、北米アナサジ、イースター島、ポリネシアのピトアケン&ヘンダーソン島、ノルウェー領グリーンランドなどである。そして現代の問題として、ルワンダ、ハイチ、中国、北米モンタナ、オーストラリアなどが取りあげられる。話題の中には、なんと江戸文明で森林破壊を免れた例もある。(もっとも今は木材輸入をして第三世界の森林を破壊しているのだが)
崩壊の要因は、経済的あるいは軍事的なものばかりではない。ダイアモンド博士の関心は文字通りのインフラであり、土壌など環境変動、気候変動の影響を重視する。本文には、私が、聞いたこともない動植物の名前が溢れている。まさに博士の面目躍如だ。
たくさんの事例を取り上げたあと、現代の我々の地球は、Polderだと博士は言う。オランダ語由来の「干拓地」という意味だ。
オランダは水面下にあり、常に水をかきだしていないといけない。その点では貧富の差はなく一連托生なのだ。
我々の子孫たちの世界はどうなるのか。対策を打たなければ、地球は大きなイースター島となる。