
シチリアの歴史は侵略の歴史である。かくてこの島には、古代ギリシャ、フェニキア、古代ローマ、ビザンチン、アラブ、ノルマン、アンジュー、スペイン、ブルボン、サヴォイア それぞれの文化が遺していった跡と重層的に出会える楽しみがある。
食の楽しみもまたしかり。ことにシンプルな味付けで魚介を食べる習慣は日本人の舌胃袋にはピッタリ。だがシチリアらしい素材もある。決して高級素材でないところもうれしい。
イタリア語でいうフィノッキオ(茴香・英フェンネル)、ケイパーが代表。茄子、マグロと、そのカラスミ、松の実。鰯とオレガノの組み合わせ。雲丹(ricci di mare)。
本書の内容は、これらの素材を使った料理のレシピ、画像、歴史背景に及んでいる。