この著者の本は、源氏物語訳の第1巻を読んだだけだ。NHKで放映された番組の書籍だが、見ていない。おそらく見ても、この文章のユーモアは出ていないと思う。
山登り初めての著者を誘ったスタッフも大胆なことをしたものだ。初めての景色を角田はこう書く。
「ここはどこなんだ?つい一昨日、私が降りたったのはたしかベネチアの空港だった。そこから車に乗ってドロミテまできた。その道中は思い出せる。けれどなんで今、こんな火星のようなところにいるのか?!
こんな感じで、紀行は続く。ふだんは、ほとんど1人旅という角田が、人々と触れ合い、話をして、最後は感謝して皆と別れるまで、幸福感に満ちた数日である。