「九份」とは、どういう意味なのか。元は9軒しか民家がなかったので、何を買うにも9っ分ということでこの名がついたという。
ガイドブックでは読んだことのないこの手の話は、やはりこういう本でしか得られない。著者は、歌手の妹さんと共に台湾本をいくつか書いている。文才は妹さんのほうが面白いが、この人の誠実さも捨てがたい。(本人、自分は理系であると、何度も断っている。歌も下手だそうだ。)
この本は著者のルーツ探しの面もある。一青という母方のルーツが能登にあり、父方の台湾基隆と台湾の歯科医を通して交流があったという事実には著者も鳥肌が立ったという。著者は歯科医なのだ。
前著台南編も本書も、知られざる台湾について、魅力を伝えて間然するところがない。