
再読。これまでのシチリア本との違いは、アグリジェント、 セリヌンテ、セジェスタなどの有名なギリシャ遺跡は登場しないことだ。たしかに弓削達、小森谷慶子らの本の魅力も捨てがたいが、陣内の視点は、遺跡より何気ない街歩きの楽しさと、街の構造にある歴史の重層的意味である。そういうシチリア論はイタリアにも存在しないという。
かつては ほとんどスラムとなっていた南伊の旧市街が元気になってきたのは、わずかここ10数年のことである。本書の副題も Riscoprire il Sud 〈南〉の再発見だ。
登場する街は、パレルモ、タオルミーナ、シラクーザ などの有名どころの他に、エリチェ、シャッカ、チェファルー、ノートなど。
シチリアは1度や2度では、とうていその魅力を味わえないようだ。