
東北大震災のとき、あっという間に200億円の義援金を送ってくれたのが台湾である。四方田犬彦の本によれば、ふつうの人が1ヶ月分の給料額をポンと寄付したともいう。
司馬遼のこの本は、それよりずっと前に書かれたものだが、文中台湾の人から司馬が「日本はなぜ台湾を見捨てたのですか」と問われる場面がある。
見捨てられたと思っていても、義援金を送ってくれる人々なのである。なぜかと考えてみると、皮肉なことに、日本が去ったあと中国人(外省人)が来たからだと思う。いわゆる犬の後に豚が来たのである。
もちろん犬の中にはダムを作った八田與一のような清廉な人物がいたことも良かった。
司馬は「台湾共和国」と書いている。願わくばいつか台湾が、ひとつの国として世界が認める存在になってほしい。日本は大国に遠慮せず、その手伝いができる政府を持てないのだろうか。