中塚明の本で尊敬をこめて言及されているのが、元東亜日報社長、金泳三の副総理も務めた知日派、権五琦(クォノギ)である。朝日新聞の若宮が聞き出す形での対談。権は日本語も達者で、若宮より日本の歴史に詳しいとも。ユーモアもある人だ。
権は、嫌悪をもって韓国を愛するという。韓国の偏狭なナショナリズムを厳しく批判する。日本でも、ちょっと自国を批判すると売国奴呼ばわりされるが、同じだ。
日韓ワールドカップ開催の話題もある。朝日の社説がきっかけだったと若宮が自慢する。試合では絶妙なタイミングで日本が先に負けたことがよかったと、二人は投合する。このイベントが成功したあと、韓流ブームがおこった。このブームでは、「狐につままれた」ように感じた日本人がいただろうが、韓国ではこの表現、「騙された」という刺激的な意味になるという。
龍馬と金九との対比もされる。龍馬は、ブーツを履き、ピストルから法へと「修正」できるが、金はスタイルを変えられない。