『経済政策で人は死ぬか? 』(D・スタックラー, S・バス 



不況になったとき、経済政策で、人々の健康は、どう影響を受けるか。まさに「自然実験」国となったいくつかの国の例を本書の公衆衛生学者が報告する。

公衆衛生なんて経済とは お門違いと思うかもしれないが、不況は まさに人々の生死に関わるのだ。大不況下米国のニューディール、リーマンショック後のアイスランドは、それでも医療福祉予算を削らずに経済は回復。一方、緊縮財政で、福祉予算を削減した、あるいはIMFに削減させられたソ連崩壊後のロシア、アジア通貨危機後のタイ、リーマンショック後のギリシャなどは、悲惨な末路を迎えた。多くの人々が自殺、病死に追い込まれたのである。

日本は21世紀に入って、「公衆衛生」という概念を捨て、「地域保健」と名付けた。これは憲法25条の「公衆衛生は国の責任で国民の生活を保障する」をある意味、骨抜きするものである。保健所を半分に削減し、保健センターという名前で市町村に権限委譲したのである。

すると、大感染症や、大不況に陥ったとき、中央政府は解決の窓口に人員を確保出来ないことになりかねないだろう。



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