『台湾生まれ 日本語育ち』(温又柔)

ぐるまん

2019年07月21日 07:38


著者の両親は台湾人。父親の仕事の関係で家族で日本に暮らし始める。その時の父親の決断が著者のいまを決めた。父親は子供を日本語の環境で育てることにしたのだ。

米国のアジア人なら、普通に起きている現象だ。日本では、まだそれほど普通ではない。在日朝鮮人の文学はあるが、子供の時から日本語を第1言語として育った作家はあまりいない。

本書は台湾でも翻訳され「我住在日語」という題名になった。母語とは何か。母国とは何か。自分のアイデンティティは何処にあるのか。温又柔は、常に問い続け、その葛藤の過程を日本語で綴った。

温又柔のキャラは母親のあっけらかんとした性格に通じているようだ。日本語から、台湾語、北京語そして韓国語へと彼女の守備範囲は広がる。

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