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2010年09月04日

『「感情」の地政学』(ドミニク・モイジ)



この著者、TIME誌でもよく見かけるが、本書で、初めて女性ではないということが分かった。また名前が、モワジではなく、モイジであることも。アウシュビッツの生き残りの息子、フランス人が英語で書いたものである。訳文は、たいへんなめらかで、読みやすい。

問題はしかし、表題の emotion をどう訳すかだ。ダマシオ「デカルトの誤り」では、emotion を情動と訳し、feeling 感情と区別する。情動のほうが、脳の下部での活動である。

ともかく本書は、世界情勢を、文化の衝突ではなく、感情の対立から読み解く。恐れ・屈辱・希望の3つがキイワードで、それぞれは自信の多寡と関係する。希望の国は、中国とインド。日本は自信喪失の国だ。屈辱は(アラブ)イスラム。そして恐れは、他世界への西洋の反応というわけだ。

著者は最後に2025年の世界を展望する。希望が勝った場合と、恐れが支配した場合の2つのシナリオを示して、たぶんどちらにもならないだろう、とするのは、いかにも賢明だ。







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